バウスマガジン
2024.05.24
BAUSのある街
国内有数のターミナル駅・池袋まで地下鉄で約7分と、抜群のアクセスの良さを誇る練馬区・氷川台。駅前の通りからは、再開発が進む池袋の高層ビル群を望めるほどの距離でありながら、石神井川の桜並木や公園といった自然環境も大切に守られてきたエリアです。
駅周辺には話題の飲食店などが点在し賑わいを見せつつ、路地を一本入れば静かな住宅地が広がり、ゆったりとした時間が流れています。
氷川台で暮らす人たちが毎年楽しみにしているのが、石神井川沿いの見事な桜並木です。
氷川台駅の近くを流れる石神井川は、春になると桜のアーチが続く素晴らしい光景に。都内の有名なお花見スポットに負けない美しさを誇りながらも、観光客はあまりいないため、心ゆくまで春の喜びに浸ることができます。
遊歩道では桜を見上げるスーツ姿のビジネスパーソンがいたり、親子が橋から桜を眺めていたりと、道ゆく多くの人が思わず足を止めて見入っている様子。そこに暮らす人たちの日常が、この時期は最高に贅沢な時間となっているようです。
また氷川台は、歩くことでさまざまな「楽しみ」が発見できる場所。東京メトロ有楽町線、副都心線が乗り入れる氷川台駅前の通りには、スーパーやドラッグストア、100円ショップ、コンビニ、飲食店などが並び、日常の買い物は徒歩圏内で揃えられるほどの充実ぶりです。
駅から徒歩で5分ほどの場所にある氷川神社は、「氷川台」という地名の由来となった歴史ある社で、およそ500年にわたり、この地で暮らす人々を守り続けてきました。現在、2028年の完成を目指して本殿や拝殿の建て替え工事が進んでおり、子どもたちが安心して遊べる公園の新設も予定されています。
駅から石神井川沿いを歩いて15分ほどで見えてくるのは、23区北部で最大の広さ(※東京都公園協会ホームページより)を誇る城北中央公園です。
野球場や陸上競技場、テニスコートなどの運動施設のほか、児童公園やドッグランなどがあり、部活動に励む学生や公園で遊ぶ親子、レジャーシートを広げて食事を楽しんでいる人たちなど、さまざまな姿が見られます。
城北中央公園は、エリアによって自然が織りなす「表情」が異なるのも魅力のひとつです。園内には初夏の青々とした芝生の感触が心地よい広場や、秋に美しく紅葉する並木道も。また「都民の森」と呼ばれるエリアは、樹木の香りと木漏れ日に包まれ、都内にいながら森の中で過ごすことができます。
東京都では珍しい木立に囲まれたドッグランは登録制で、中大型犬、小型犬、フリーエリアと3つに分かれており、訪れた飼い主さんたちが交流する場にもなっています。
ゴールデン・レトリーバーなどの大型犬に混ざって元気に遊んでいたのは、レオンベルガーというめずらしい犬種。飼い主さんにお話を聞くと、このドッグランはボランティア団体によって20年近く運営されていて、設備の修理や掃除、衛生管理、園内パトロールなど、会員が協力しながら地域との共存を目指してきたとのこと。
ウォーキング中に「可愛い~!」と足を止める人も多く、楽しそうに走り回る犬たちの姿を眺めているだけで、思わず笑顔になってしまいます。
ドッグランで愛犬とたっぷり遊んだら、お気に入りのカフェでひと休み。そんな日常を叶えてくれるのが、公園の向かいにあるお店「Cafe しあん あ・ら・もーど」です。
お店がオープンしたのは2008年。代表を務める佐藤さんは、愛犬のハナビちゃんと城北中央公園をよく利用していたそうで、「ここにドッグカフェがあったらいいのにね」と旦那さんと話していたことが、きっかけなのだそう。
天然酵母を使用したベーグルや焼き立てのワッフルが人気で、愛犬と一緒に店内で食事が楽しめます。
この日はスタッフの杉江さんと愛犬・モコちゃんが遊びに来ていました。ワンちゃん用メニューのおじやが大好きなモコちゃん、瞳をキラキラさせて、杉江さんに食べさせてもらっています。
美味しいご飯を食べる喜び、そんな時間も愛犬とシェアできたら、きっと幸せも2倍になるはず!
佐藤さんはワンちゃん用のケーキ教室も開催していて、インスタグラムのみで告知しているにもかかわらず、毎回キャンセル待ちが出るほどの人気ぶり。
じゃがいもや鶏肉を使用した「ごはん系ケーキ」は、バレンタインやクリスマスなど、季節のイベントに合わせた可愛らしいデコレーションもポイントです。
「ごはん系のケーキなら、フードの代わりとして気兼ねなく楽しめるので(笑)。添加物は使わず、野菜パウダーで色をつけるなどの工夫をしています」(佐藤さん)
カフェのオープンを機に、氷川台に引っ越してきた佐藤さん。街の印象を聞くと、「都会過ぎず、田舎過ぎず。ゆったりした感じで、人もそんな雰囲気を持った方が多い気がします。日々の生活を丁寧に楽しまれている感じですね」と教えてくれました。
【お店情報】
Cafe しあん あ・ら・もーど
東京都練馬区氷川台2-11-35
電話番号:03-3937-4054
営業時間:10:00~18:00(※季節により変動)/定休日:水
※愛犬との入店マナーをご確認のうえ、ご利用ください。
氷川台はさまざまなスタイルの公園が充実していますが、なかでもユニークなのが、「自然×冒険×交流」をコンセプトに練馬区の原風景、農家の屋敷林を再現した「こどもの森」です。
ここにはブランコやすべり台といった既成の遊具はなく、「子どもが自分で“遊び”を生み出す」ためのタイヤやスコップ、工具などが置かれています。
さらに施設内には「プレーリーダー」と呼ばれるスタッフが常駐し、子どもたちが遊んで育つ姿を見守っています。
こどもの森では、穴掘りも木登りも立派な遊び。木製の床に絵を描くのだってOKです。プレーリーダーの森田さんいわく、「子どもたちは自由な発想で、“名もなき遊び”をどんどん生み出していきます。大人が“何をしているの?”と聞くのが野暮なくらい(笑)」とのこと。
プレーリーダーの女性とベーゴマ対決をしていた男の子は、おじいちゃんに買ってもらったという自慢のベーゴマを見せながら、「ヤスリで削って、強くしていくんだよ」と教えてくれました。
こどもの森は、遊び場だけでなく「人と人をつなげるコミュニティ拠点」の役割も果たしています。
「保護者はもちろん、昔から住んでいる方が、散歩がてら寄ってくれるときもありますし、週末は中高生が遊びに参加することも。年齢の異なる子ども同士で交流するという経験をしている子は、歳を重ねると今度はみんなをまとめられるようになっていたりして、そんな様子を見ると成長を感じますね」(森田さん)
親でも先生でもない、ちょっと年上の遊び仲間——。
そんな存在を、森田さんたちは「斜めの関係」と表現しているのだそうです。
「ここに来れば、誰かと遊べると思ったから」
訪れた子からそう言われると嬉しくなると、笑顔で答えてくれた森田さん。
樹林や農地が今も残る練馬区では、こどもの森のように豊かな緑の資源を生かし、子どもたちが自由に遊ぶことのできる「場づくり」に取り組んでいるとのこと。自治体が地域と共に子どもの成長を支えようとするその姿勢に、温かい未来を感じます。
【施設情報】
練馬区立 こどもの森
東京都練馬区羽沢2-32-7
電話番号:03-5999-6200
開園時間:9:00~17:00(※3月~9月)、9:00~16:30(※10月~2月)/休園日:12月29日〜1月3日
駅前にも飲食店はありますが、美味しいお酒と料理を静かに楽しみたいなら、路地へと足を伸ばしてみましょう。
氷川台駅から歩いて5分ほどの場所にある「蕎庵あおい」は、オープンと同時に席が予約客で埋まるほどの人気で、知る人ぞ知る地元の有名店。
評判の手打ち蕎麦は、希少な蟻巣石の石臼を使用することで、蕎麦の風味を壊すことなく挽いているのだそう。
人気のメニューは、蕎麦と天ぷらがセットになった「天せいろ」。定番の「あおい天せいろ」のほか、季節ごとに旬の素材を使用した天ぷらのセットもあり、コシのある蕎麦にさくりと軽やかな天ぷらの組み合わせは絶品です。
また蕎麦以外のメニューも充実しており、蕎麦前(おつまみ)盛り合わせや焼き物、酒蒸しなど、どれも手が込んでいて何度でも通いたくなるほど。
常連さんも多く、これほどの人気でも店主の西山さんは「当たり前のことをしているだけですから」と謙遜するお人柄。それでも料理からは、並々ならぬこだわりが伝わってきます。
年末には、テイクアウト用の年越し蕎麦の予約も行っており、一年の終わりを締めくくる幸せな晩餐を楽しめます。
【お店情報】
蕎庵あおい
東京都練馬区桜台3-42-24
電話番号:03-5999-2480
営業時間:火、土 11:45~15:00、水~金 11:45~15:00 18 : 00~22 : 30/定休日:月、日
蕎庵あおいから桜台駅方面へさらに10分ほど歩いていくと、スタイリッシュな外観が印象的な銭湯「久松湯」が見えてきます。
1956年から続く老舗ですが、2014年に大規模リニューアル。浴場の壁面を利用したプロジェクションマッピングによる光の演出が話題となりました。
露天の天然温泉、サウナ、水風呂、炭酸泉、電気風呂、炭酸シャワー(※女湯のみ)など設備も充実していて、サウナや温泉好きもしっかり満足できます。
休日のちょっとした気分転換なら、少し遠回りして石神井川沿いを歩き、ほどよく汗をかいたら久松湯で心身のメンテナンス、というスタイルもおすすめ。自宅のお風呂にはない解放感を味わいつつ、パワーチャージの完了です。
また近隣には複合型の温泉入浴施設「豊島園 庭の湯」もあり、水着で家族一緒に温泉を楽しむこともできます。こちらは徒歩で約30分と少し距離がありますが、石神井川沿いの遊歩道なら、季節を感じながら心地よく歩けるはず。
【お店情報】
天然温泉 久松湯
東京都練馬区桜台4-32-15
電話番号:03-3991-5092
営業時間:11:00~23:00(最終受付22:30)/定休日:火
ほどよい距離感で公園や店舗が混在している氷川台は、偶然の出会いと発見を楽しめる街でもあります。
ときには目的やゴールを決めず、気ままに歩いてみてはいかがでしょう? 「自分にとって心地よいもの」や、「新しいワクワク」が生まれる場所を見つけることができるかもしれません。
取材協力:練馬区みどり推進課/PLAYTANK
取材・文:秋山美津子(Dripword)
撮影:大石隼土
※掲載の情報は2024年5月時点のものです。
※記事内で紹介している所要時間は目安です。