バウスマガジン
2023.12.15
暮らし
年末が近づくと、大掃除で気が重くなる方もいらっしゃるかもしれません。日本ではなぜ年末に大掃除を行う習慣があるのでしょうか?
大掃除は、平安時代に宮中で行われていた「煤払い(すすはらい)」から始まったとされています。当時は薪を炊いた生活をしていたため、天井に溜まる煤やホコリを隅々まで払い落としていました。煤払いは、新年を司る年神様を迎えるための神聖な清めの行事で、お正月準備の風習のひとつでもあったのです。
世界に目を向けると、欧米では年末ではなく、気温が温かくなる春に大掃除する習慣があるのだとか。
気候を味方にして、お掃除を少しずつはかどらせるのもよいですね。
■春:静電気が発生しにくい春先には、ホコリの掃除に最適
■夏:キッチン周りの油汚れなど、固まりやすい性質をもった汚れのお掃除がおすすめ
■秋:カーテンやソファカバーなど厚手で大きなものの洗濯には、乾燥した秋晴れを活用
■冬:冷蔵庫の掃除と整理は、外に出した食品が傷みにくい冬がチャンス
お手入れが行き届きにくい場所の汚れを放置していると、後で余計な時間と手間がかかってしまうことも。
自分のペースで、日ごろ手が届かない場所に気を配ってみましょう。
今回は掃除のプロ直伝の、普段見落としがちな場所の掃除の仕方や、リバウンドをせずにきれいな住まいを保つ方法をご紹介いたします。
<お風呂>
湿気が多くカビが増えやすい浴室は、天井や浴槽のエプロン(浴槽の側面カバー)内にも見えないカビが潜んでいることがあります。
浴槽や床以外の場所は日常的にお掃除する機会が少なく、意外と掃除を忘れがちです。気がついたらカビの温床になっていたという状態にならないよう、できる限り定期的なお掃除がおすすめです。(※)
■浴槽のエプロン
浴槽のエプロンの内部は掃除をしたことがないという方も多いかもしれません。エプロンの内部は湿気が溜まってカビが発生しやすいため、定期的に掃除することが理想です。
無理やり外すと壊れたり元に戻らなくなる可能性もあるため、取扱説明書をよく確認し、可能な範囲で外して掃除しましょう。
■浴室換気乾燥機フィルター
浴室換気乾燥機フィルターの掃除を怠ると、溜まったホコリと湿気が混ざってカビが発生し、カビの胞子を天井から浴室全体にまき散らす原因になりかねません。フィルターを外して、中性洗剤とブラシでホコリを洗い流します。
■ドアの換気口
浴室の換気は、天井の浴室乾燥機の換気扇から湿気を逃すと同時に、ドアのスリット状の換気口から外の空気を取り込みます。空気とともにホコリも吸い込んでしまい、換気口はつまりがちになります。使い古しの歯ブラシなどを使って、換気口のすき間のホコリを取り除きましょう。普段は見えにくい部分ですが、意外とホコリがごっそり取れます。
■天井
入浴のたびに水滴が溜まりやすい天井は、実は見えにくい小さなカビが繁殖しやすい場所です。天井面は、柄の長いフロアワイパーなどを用いて、四隅までまんべんなく拭き取ると、高い部分の作業がラクにできます。
*浴室の天井掃除の注意点
浴槽の縁に足をかけたまま高い場所を掃除するのは、滑って転倒する可能性があり危険です。安定した踏み台などを用意して、無理のない体勢で行ってください。
<トイレ>
定期的にお掃除していても、なんだかまだニオイが気になる。そんな時は、ウォシュレットの見えない部分に、まだ汚れが残っているかもしれません。意外と知らない見落としがちな汚れやすいポイントも、お掃除方法を知っておけば簡単にキレイになります。(※)
■ウォシュレット本体と便器のすき間
ほとんどのメーカーのウォシュレット本体は、便器との固定部分を少し浮かせて、便器とのすき間を掃除することができます。いつも目にしない部分なので、実は結構な汚れが溜まっています。トイレ用お掃除シートなどで拭き取ってから、元に戻します。
■脱臭フィルター
ウォシュレットの側面にある脱臭フィルターは、ホコリが溜まっていると脱臭機能が低下してしまうため、定期的に掃除することをおすすめします。取り外してホコリをブラシで優しく取り除き、水洗いをして乾かしてください。
<給気口フィルター>
給気口があることは知っていたけど、今まで掃除したことはないという方も多いかもしれせん。普段はなかなか気にすることがありませんが、実は汚れている場所のひとつです。
気密性の高いマンションでは、窓を開けなくても外気を取り込み室内の空気を上手に循環させるために、24時間換気システムが導入されています。給気口のフィルターは、外からのホコリや花粉、排気ガスなどを軽減する役目があり、給気口本体やフィルターに汚れやホコリが溜まりがちなので、こまめなお手入れを心がけましょう。(※)
<排水管>
ヌメリやせっけんカスが溜まりやすい排水口は、汚れの蓄積が見えやすい場所のため、普段からお手入れされている方も多いでしょう。
しかし、実はその先の排水管内にも汚れが溜まっていることがあります。手が届かず見えにくい排水管の汚れを放置していると、詰まりや悪臭の原因になる恐れがあります。
■分譲マンションの場合
排水管は一部が共用設備の扱いとなるため、管理組合による清掃の対象になります。
排水管の高圧洗浄は、普段のお手入れでは届かない部分を専門業者がしっかり掃除する大切なメンテナンスです。排水管に汚れが蓄積すると、悪臭や漏水など、マンション全体に影響が出る場合があります。実施日には必ず洗浄してもらうようにしましょう。
■戸建住宅の場合
戸建住宅においては、自ら専門業者を手配して排水管の高圧洗浄を実施することになります。昨今の節水トイレの影響や配管の状況などにより、詰まりやすくなる場合があります。詰まりがひどい状況になると、排水管の改修工事に繋がる可能性も。
どのくらいの頻度で排水管の高圧洗浄を行うべきかなど専門業者に相談し、定期的に洗浄してもらうと安心です。
大掃除しても数か月したらまた元に戻ってしまう。気がつくとまた散らかってしまったという経験はありませんか?
大掃除のリバウンドを防止して快適な部屋をキープするために、毎日でも取り入れられる簡単お掃除テクニックや、ものの整理や管理について、3つのポイントをご紹介します。
Point 1: 普段の行動に掃除を取り入れる
(1)ついで掃除をする
・ゴミ袋を入れ替えるついでに、ゴミ箱をアルコールティッシュで拭く
・歯磨きのついでに、タオルで洗面所の鏡を磨く
・キッチンのタオル交換のついでに、蛇口やシンク回りの水滴を拭く
など、普段の行動のついでにできる掃除を取り入れるように意識すると、自然と掃除が習慣化しやすくなり、キレイが長続きします。
(2)掃除道具を近くに置いておく
キッチンやトイレなど汚れやすい場所には、フックやラックを活用して掃除道具を手が届きやすいところにスタンバイしておくのがポイントです。
水垢や油汚れが固まらないうちに使用後すぐに掃除をするほうが、ラクに汚れが落とせます。
Point 2: 汚れを予防して、住まいや設備を美しく保つ
(1)汚れやすいものを見直す
ヌメリが付きやすいキッチンの排水口のゴミ受けは、プラスチック製のものからステンレス製に取り替えると、汚れを落としやすくなります。
事前に汚れを防いだり、汚れがつきにくいものに替えることで、日々の掃除はぐっとラクになります。
※ディスポーザー付きのキッチンは除きます。
(2)マット類を敷かない
トイレや玄関などのマット類はできるだけ敷かないほうが、床の掃除がスムーズです。厚手で乾きにくいマット類を洗濯する手間も手放せます。油汚れが気になるキッチンには、お手入れしやすい透明のキッチンマットがおすすめです。
掃除やお手入れには、快適性の他にも、様々なメリットがあります。ご紹介した方法で住まいや住宅設備を美しく保つことで、家を手放す際にリフォームやハウスクリーニングのコストが抑えられるなど、不動産の資産価値向上にもつながります。
Point 3: ものの量や収納方法を見直す
掃除のタイミングで、整理整頓も改めて意識してみましょう。
・季節家電や、趣味・スポーツ用品の収納場所がない
・CDや書籍が大量にあって整理しきれない
など、どうしても収納場所が足りなかったり、ものの整理整頓が大変な場合は、リユース(買取)やトランクルームといったサービスを活用するのもおすすめです。
最近のトランクルームは宅配サービスもあり、重い荷物や大型のものを預けたいというニーズにも対応しています。
キレイな部屋をキープすると、部屋だけでなく気持ちも清々しくなります。家族と過ごすおうち時間もより充実して、家に帰ることが楽しみになりそうですね。来年も快適な住まいで、自分らしく、こころ豊かな毎日をおくりましょう。
※ 各住宅設備機器(ユニットバス、トイレ、キッチン、給気口など)には、メーカーの取扱説明書等で、使用可能な洗剤や掃除方法が推奨されている場合がありますので、ご確認ください。