BAUS MAGAZINE

バウスマガジン

2025.12.19

インテリア

プロに聞く、
「自分らしい空間」の描き方

 理想の空間のイメージがあっても、実際にどんな家具を選んで、どうまとめればいいのか分からなくなることってありますよね。そんな方に、今回は、「自分らしさを表現する空間づくり」のヒントをお届けします。
 お話をうかがったのは、バウス日暮里のモデルルームを手がけた株式会社ジアスのインテリアコーディネーター、岸暁美さん(左)と小泉亜希子さん(右)。
 引っ越しや模様替えをお考えの方はもちろん、今の住まいにちょっとした変化を加えたい人にも参考になるアイデアをご紹介します。

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  • 「どう暮らしたいか」が、住まいづくりの原点

     住まいづくりの第一歩は、「この空間で、どんなふうに過ごしたいか?」を思い描くことから始まります。
     暮らしの変化に合わせて、「好きなもの」や「心地よいと感じる雰囲気」を自分なりに整理してみましょう。
    「ネットやSNSで見つけた気になる空間の画像をスクリーンショットして、フォルダーにまとめておくと便利です。家具単体ではなく、“空間全体の雰囲気”に注目すると、自分の好みが自然と見えてきます」(岸さん)
     好みのイメージが見えてきたら、その雰囲気をどう空間に落とし込むかを考えてみましょう。家具や照明、カーテン、クッション、グリーンといった要素を順に選んでいくと、全体のバランスも整いやすくなります。

  •  ただし、「好き」を集めただけでは、全体の統一感が欠けてしまうことも。
    「一つひとつは素敵でも、空間として見るとバラバラに感じるケースは多いんです。色味や素材感に一貫性を持たせることがポイントです。どのような雰囲気の空間にしたいか、家族とイメージのすり合わせをしておくと、空間づくりもスムーズに進みます」(岸さん)
     そんな空間づくりの実例としてご紹介したいのが、バウス日暮里のモデルルーム。ワインとお洒落を楽しむ40代夫婦の暮らしをイメージしたこの部屋では、「textile(生地)」と「greenery(緑)」をテーマに、洗練されたインテリアが広がっています。自分らしい空間を叶えるヒントが、さりげなく散りばめられた一室です。

  • 空間を広く、心地よく。
    家具選びの工夫

     家具選びで失敗しないためには、購入前にサイズをしっかり測り、平面図に家具を配置してみることが大切です。
    「動線がしっかり取れているかを確認すれば、家具が大きすぎたり小さすぎたりする失敗は防げます」(岸さん)
     こうした配置の工夫は、モデルルームの空間づくりにも活かされています。リビングでは、ご夫婦が語らいの時間を楽しめるよう、2台のソファをL字に組み合わせ、ゆったりとしたコーナーを設けています。リビング全体が見渡せる位置に配置することで、空間全体が心地よくつながります。
    「テーブルを囲むこの配置が、ご夫婦の語らいをそっと包み込むような空気をつくっているんです」(小泉さん)

  •  そのL字に組まれたソファの中心には、視線を惹きつけるローテーブルが佇んでいます。円形でも四角でもない有機的なフォルムは、どの角度から見ても美しく、空間にやわらかな動きを与えています。
    「一見扱いにくそうなアンシンメトリーなデザインですが、L字型のソファの間など、どこに置いても不思議と馴染むんです」(岸さん)
     また、視線を縦に誘導することで、より広がりを感じさせる工夫も。窓まわりには、天井を高く見せるために、縦のラインが際立つバーチカルブラインドを採用。
    「一般的なカーテンよりも縦のラインが強調されるので、空間がより広く感じられ、モダンで洗練された雰囲気に仕上がります。壁との一体感もあり、すっきりとした印象になります」(岸さん)
     細部まで計算された配置とデザインが、空間の中に自然な心地よさをもたらしていました。

  • 質感と光が織りなす、住まいの彩り

     空間の雰囲気をつくるうえで、照明や小物、そしてグリーンは欠かせない存在です。どれも住まいのキャンバスに彩りを添える、大切な要素といえるでしょう。
     たとえば、モデルルームの照明計画には、ご夫婦の趣味や美意識がていねいに反映されています。
    「ダイニングのアクセントとして、アーティスティックなペンダントライトを選びました。全体をやさしく包む光が、落ち着いた空気感をつくってくれます。アシンメトリーな形状なので、テーブルの配置が多少ずれても自然になじみ、空間にさりげないリズムが生まれます」(岸さん)
     小物やファブリックにも、個性と感性が滲みます。立体感のあるやわらかいクッションは、空間にやわらかなぬくもりを添えています。アートに関する本やオブジェを組み合わせれば、ギャラリーのような趣が生まれます。そんな空間にみずみずしいグリーンが加わると、静かな中に生命感が宿ります。

  •  無機質になりがちな室内には、グリーンを取り入れるだけで空間の印象が大きく変わります。
    「手入れのしやすさを考えるなら、本物とフェイクを上手に使い分けるのがおすすめです。大鉢や中鉢など存在感のあるものは本物を、棚の上など細かな場所はフェイクでも自然にまとまります。最近のフェイクグリーンは質感もよく、視覚的にも違和感はありません」(岸さん)
     また、グリーンの形や高さにも工夫を。
    「サボテンのようなシャープなフォルムのものと、垂れる葉のグリーンを組み合わせることで、空間に動きと奥行きが生まれます。たとえば、モダンな空間には直線的なものを、ナチュラルな空間にはやわらかい印象のものを、というように雰囲気に合わせてコーディネートできるのがうれしいですね」(小泉さん)
     ただし、実際に置いてみると「大きすぎた」「小さすぎた」となりがち。家具と同様に、購入前に部屋のサイズや希望の高さを測っておくと、失敗がなく安心です。

  • 小さな工夫で、住まいをもっと自分らしく

     自分らしい「好き」を暮らしに少しずつ取り入れることで、住まいは自然と自分になじみ、やがて愛着が育っていきます。
    「リビングにお気に入りのクッションを置いたり、寝室の棚に好きな置物を飾ったり。小物や装飾など小さく変えやすいところからはじめるのがよいと思います」(岸さん)
     空間づくりは、なにかを大きく変えなくても大丈夫。ほんの少し手を加えるだけで、暮らしの質はきっと変わっていきます。
     あなたの「好き」が重なっていくことで、「自分らしい空間」は少しずつ彩られていくことでしょう。小さな一歩が、やがて理想の住まいを描き出すはじまりとなりますように。

岸 暁美
株式会社 ジアス インテリアコーディネーター
インテリア会社にて、新築分譲マンションや戸建の専有部におけるベースカラーの設定や、モデルルームのインテリアコーディネートを担当。2022年の会社合併以降は、オリジナル家具や雑貨のディレクションにも携わっている。

小泉 亜希子
株式会社ジアス インテリアコーディネーター
ハウスメーカーにて注文住宅のカラーコーディネート業務を経験した後、インテリア会社でモデルルームのコーディネート実績を積む。デベロッパーをはじめ、ハウスメーカーや個人邸など、幅広い顧客に対応している。