バウスマガジン
2025.02.28
ファイナンス
理想の住まいを手に入れるために知っておきたい「家と資金の話」を、連載記事でご紹介する本シリーズ。第4回のテーマは、入居前後に必要なお金です。
新居への入居前後には、住宅ローンの返済以外にもさまざまなお金の出入りがあります。見落としがちな費用や思わぬ出費がある一方で、控除や補助金などで返って来るお金もありますので、こうした情報を事前に把握して準備をしておく必要があります。
新居での生活をスタートする前には、引っ越し費用はもちろんのこと、新しい暮らしに必要なものをすべて自身で用意することになります。
特に照明器具とカーテン類は入居の日に間に合うよう、それぞれの部屋に合うものを用意しましょう。一つひとつは高価なものではなくても、すべての部屋と窓に用意するとそれなりの金額になります。
窓の大きさなどは図面に記載がありますが、詳細は現地を見ないとわからないことも多くあるので、オーダーや購入は引渡し前の内覧会の機会を利用して部屋を確認し、採寸しましょう。デザインのイメージも、実際の部屋を見てこそ湧いてくるのです。
家具や家電に関しても、どこに何を置きたいか、何を新調する必要があるかを検討し、内覧会で置き場所とサイズも確認しましょう。売主は家具の専門店やレンタル業者などと提携していることが多く、入居者向けの特別価格を用意している場合があるので確認してみましょう。
とりあえず今使っているものをそのまま持ち込んで使えばいいという考えもありますが、賃貸物件で使っていたものを新築マンションに持ち込むと小さく感じたり、不便や不足を感じたりすることも多くあります。入居してから何を新調するかをゆっくり検討してもいいのですが、こうしたところに追加の費用がかかる可能性があることは覚えておく必要があります。
また、電気やガスなどの契約も忘れず行いましょう。部屋が広くなると光熱費も上がりがちなので、家電を新調する場合は省エネ性能を重視して選ぶのも一つの方法です。後述する還付金や助成金を受け取ったタイミングで、家具や家電を新調する方法もあるでしょう。
購入した住宅は、固定資産税などの対象になります。固定資産税は1月1日時点での建物や土地の所有者に毎年課税される税金のため、年の途中で取得した場合は翌年から課税されます。4月ごろに納付書が送付され、4回に分けて支払うことも可能です。
税額は物件の固定資産税評価額に税率(1.4%とする自治体が多い)をかけて計算されますが、新築物件の場合は売主が目安額を教えてくれるので、予算を確保しておきましょう。
また、マンションの場合は毎月の管理費と修繕積立費等がかかってきます。金額は物件によって異なるので販売担当者に確認しましょう。
一戸建ての場合はこうした費用はかかりませんが、外壁や屋根などは定期的なメンテナンスが必要で、いずれも相応の費用がかかるので、自身で積み立てをするなどして将来の修繕に備えておくと安心です。
※購入した住宅には、都市計画税などの税金もかかります。都市計画税については、お住まいの自治体のホームページや総務省の公式サイトでご確認ください。
新居の購入後は、お金が返ってくる制度もあります。まずは住宅ローン減税を受けるために確定申告をしましょう。住宅ローン減税は対象となる年末のローン残高に0.7%の控除率をかけた金額が13年間にわたって所得税から控除され還付される制度です。会社員の場合、初年度のみ確定申告を行う必要がありますが、2年目からは勤務先の年末調整で手続きできます。
控除を受けられるローン残高には上限が設けられており、長期優良住宅や低炭素住宅、ZEH(ネットゼロエネルギーハウス、消費するエネルギーより生み出すエネルギーが上回る住宅)水準の省エネ住宅や、こうした住宅を取得した子育て世帯(一定の要件あり)はこの上限が高く設定されています。
省エネ性能の高い住宅に関しては、「ZEH支援事業」などの国の支援制度や補助金が利用できることがあります。2025年度からはZEH水準住宅を取得した子育て世帯などに最大60万円を補助する「子育てグリーン住宅支援事業」もスタートする見込みです。補助金だけでなく、登録免許税と固定資産税が軽減される制度もあるため、住宅購入者はもらさず利用したいものです。
※2025年1月現在
自治体によっては、独自の補助金制度を用意しているケースもあります。政府や自治体の補助金や支援制度は毎年変更されるケースも多く、その年の制度がどうなるかは直前までわからないこともよくあります。
こうした情報は売主がいち早く取得しているので、販売担当者に気軽に相談してみましょう。
さまざまな検討を重ねて、ようやく手に入れた新しい住まい。住宅ローンだけではなく、それ以外の出費に関しても細かくリストアップし、計画を立てておくと安心です。戻ってくるお金に関しては最新の情報をキャッチし、準備しておきましょう。
※本記事は2025年1月現在の情報にもとづいています。